いつか起業したい方へ
本当に起業するべきかどうか迷ったら
言うまでもなく、起業とは趣味や遊びではありません。
お客様からお金をいただく対価として、商品やサービスを提供する、れっきとした経済活動です。
ところが「起業したい!」という思いだけが先行し、肝心の「稼ぐ」という部分がすっぽり抜けがちな方が少なくないのが実情です。
起業とは、働き方の手段のひとつであって、決して目的ではないんですよね。
起業はゴールではなく、スタートです。
結婚と同じです。いいことばかりではありません。
- 起業して、何をしたいのか
- あなたのやりたいことは、起業以外の手段では実現できないのか
- そもそも、人から求められている内容なのか
などを、ひとつずつ論理的に積み上げた結果、やはり起業するのがよいということになればOKです。
この大事なプロセスを飛ばし、ただやりたいからやる!というのでは、長続きしませんし、なにより自分自身を苦しめることにつながります。
そして、大事なことをもうひとつ。
起業したからといって、必ずしも会社員のお給料よりも、たくさん稼げるとは限りません。
離婚するから起業したい、介護があるから起業したい、といった相談を受けたこともありますが、不安定な生活をさらに不安定にする危険性があるということも、理解しておいてほしいですね。
むやみな起業は、決して幸せを招きません。
自分の夢を優先するのか、それとも毎月の収入金額を優先するのか、冷静に客観的に考えることをおすすめいたします。
(筆者:長谷川亜由美)
独立・起業の不安を乗り越えるには?
私は、いまの会社(株式会社AKD)を設立する3年前から直前まで、人からの指示を受ける立場にいました。
会社員ではありませんでしたが、つまり上司がいたんです。
結婚してからずっと、経営者だったため、久しぶりに指示を受ける側の立場になって、最初のうちは新鮮だったことを覚えています。
でも・・・やっぱり違うんですよね。
全部を自分で決められない。
このストレスから、いまの会社を設立しようと決意したと言っても過言ではありません。
仕事を引き受けるか否かを検討する場合も、上司に聞かなければいけない。
つまり、正直私の意に反する仕事でも、時には引き受けなければいけないわけで、
いったい、なんのために働いているんだろう?
と、思う回数が多くなったころ、独立を決意しました。
独立起業してからは、すべてを自分で決められます。
進むのか、立ち止まるのか、誰にも左右されないですみます。
私は起業したときに、本当の意味で、どこにでも飛んで行かれる翼を得たような気がします。
それを、自由というのかもしれません。
とはいえ、自分も起業して自由になろう!
なんて、安易な考えは絶対におすすめしません。
私は、独立した人で、もっともっと不自由になった人をたくさん知っています。
- 生活費のためにやりたくない仕事も引き受ける
- 値切られても、次の仕事のためと思ってイヤイヤ引きうける
- いいように使われ、昼夜も土日も関係ない
こういう方たちは、見えない鎖にがんじがらめにされているんです。
私は、見えない鎖の中には「不安」も含まれていると思っています。
不安だからこそ、何かにすがる。
少しでも安定を求めようとする。
私は、安定と引き換えに、自由を選びましたが、いまを不安定だとも思っていません。
不安定だからこその楽しみ方を知っているからです。
不安の乗り越え方、よく聞かれるんですけど、カンタンです。
不安になるというのは、やることをちゃんとやっていない証です。
いまできること、やらなければいけないこと、やりたいこと、全部ちゃんとやりつくしてみてください。
(筆者:長谷川亜由美)
自分の強みを発見しよう
「いつかカフェをやりたいなぁ・・・」
「カントリー風の家具でまとめたカフェで、自分の大好きなパンケーキをつくって、コーヒーはオーガニックで・・・」
「平日の昼間はいつもママたちでいっぱいで、のんびり過ごしてもらえたら・・・なんて幸せなんだろう♪」
と、夢がどんどんふくらんでいく瞬間は、妄想しているだけでも楽しいものですよね。
しかし、ちょっと待ってください!
あなたの思い描くようなカフェは、ほかにもたくさんありますよね? どこかで見たことがあるようなカフェではないですか?
もし近所にスターバックスコーヒーがあったら、お客様はスタバに行ってしまうかもしれませんが、それでもいいですか?
商売をする以上、競合はつきものです。
その競合店と比較したとき、お客様があなたのカフェを選ぶ理由はなんでしょうか。
この「選ばれる理由」を持つことは、とても大切です。
その理由とは、言い換えれば特徴。あなた自身またはお店そのものの「強み」です。
たとえば、あなたに海外留学の経験があり、日常会話程度なら英語が話せるとしたら、日本に観光で訪れた海外のお客様が安心して来られるカフェになるかもしれません。
パンをつくることが得意だったら、自家製パンを出すカフェにすることも可能です。
長年地元に住んでいるため友だちが1,000人ぐらいいて、みんながかわるがわるカフェに来てくれるかもしれません。これだって大きな強みです。
このような強みをもっておけば、スタバと比べられても、あなたのカフェが選ばれる可能性が高まりますね。
ところが・・・自分の強みほど、自分ではなかなか気づけないという法則があります。
なぜなら、自分では当たり前だと思ってしまっているから。実は、当たり前にできていることこそが、強みなのだと知っておいてください。
あなたの当たり前は、他人にとっては特別であることが多いです。
努力せずにできていること、がんばらなくてもできていること、あなたにもありませんか?
起業を考えるときには、自分自身の強みと弱みを見極めておくことが、成功への近道となるでしょう。
(筆者:長谷川亜由美)
起業を決意した方へ
起業の形態:個人と会社、どっちがいいの?
起業をしようと決めたら、個人事業でスタートするのか、会社を作るのかを考えなければなりません。
個人事業で始めるにしろ、会社を設立するにせよ、どちらもメリット・デメリットがあります。
どちらを選ぶかは、
- どのような事業の規模を想定しているのか
- 将来どうなっていたいのか
- どのような業種をするのか
などによって異なります。
個人事業と株式会社を比較した下記の表を参考に検討してみましょう。
(筆者:永田洋子)
個人事業でスタートする
プチ起業やお家サロンなどで起業する女性の多くが「個人事業」としてスタートします。
この「個人事業」とは、株式会社などの法人を作らずに事業を始める形態で、「自営業」や「フリーランス」などとも呼ばれ、次のような特徴があります。
●事業開始の手続きが容易
事業を始める時には税務署に「開業届」を提出すれば始められ、費用もかからないので、法人を設立して起業するよりも簡単です。また、
●事業の内容は自由
株式会社の場合、定款と呼ばれる会社設立時に必ず作成する書類の中に、事業内容を記載しなければなりません。そのため、事業内容を追加したり変更したりする場合には、定款の変更が必要となり、手続きや費用が発生します。その一方で、個人事業の場合は、自由に追加や変更ができますので、新たな事業に柔軟にチャレンジできます
●社会的な信用は法人と比較すると低い
営業活動や、スタッフを採用する、金融機関からお金を借りる、などの時には法人と比較して個人事業は社会的信用が得られにくい場合があります。
●収入が大きくなると税金も増える
個人事業にかかる所得税は”累進課税”と呼ばれ、所得が増えれば増えるほど税率が高くなり、多くの税金を納めなければならなくなります。
なお、個人事業と法人とでは、メリットとデメリットはそれぞれあるので、どちらが得とは一概には言えません。
しかし、
・家事や育児と両立しながら、自分のペースで始めたい
・自分の目の届く範囲の身の丈に合った事業をしたい
という場合は、個人事業が向いているかもしれません。
(筆者:永田洋子)
株式会社を設立する
起業の夢として「株式会社を立ち上げて『女性社長』になりたい!」という方もいると思います。
また、個人事業で始めた事業が成長をしたので、株式会社へ改組する、いわゆる「法人成り」をする方も少なくありません。
株式会社の特徴は以下の通りです。
●取引先などから信用を得やすい
個人事業と比べると、株式会社のほうが相対的に社会的信用が高いとされています。実際に、大企業や行政などと取引をする場合には個人事業とは取引しない、という場合もあります。営業活動や資金調達、人の雇用などの面においては、個人事業よりも株式会社のほうが信頼度が高く有利になることが多いでしょう。
●節税につながる
所得が増えた場合、個人事業であればその分、税率も高くなります。また、法人のほうが経費として認められる範囲も広がり、節税のメリットが得られます。ただし、個人事業と比較して経理処理は複雑になります。
●設立時は費用も時間もかかる
株式会社を設立する場合、資本金は1円から設立可能となりましたが、登記の手続きなどに最低でも約25万円が必ずかかります。開業届だけで起業ができる個人事業と比べると、お金も時間もかかるのが株式会社の設立です。
なお、株式会社と個人事業とでは、メリットとデメリットはそれぞれあるので、どちらが得とは一概には言えません。
しかし、
- 大きくビジネスを発展させたい
- 社会的信用が欲しい
- 節税をしたい
という場合は、株式会社の設立が向いているかもしれません。
(筆者:永田洋子)
事業を始める時に必要な「許認可」や「届出」
起業したい!と思っても、自由に何でも出来るわけではありません。
例えば「カフェを始めたい」という場合には、保健所の「食品営業許可」や「喫茶店営業許可」が必要になりますし、「子供服のリサイクルショップをやりたい」と思ったら、公安委員会(警察署)の「古物商許可」が必要になります。
自分がやりたい事業について、必要となる許認可をきちんと調べることが大切です。
行政に届出をして許可を得たり、免許が無いとできない事業、登録が必要な事業など、主なものを一覧にしましたので参考にしてください。
(筆者:永田洋子)
リサーチをしよう
起業しようと思ったら、まずその分野について詳しく知っておくことが大切です。
その業界にはどのような事業者が存在しているのか?
どんな商品やサービスを幾らで提供しているのか?
それぞれの事業者はどのような工夫をしているのか?
といった事業者側はもちろん、お客様の要望(ニーズ)についても調べて、自分のビジネスのブラッシュアップに役立てます。
店舗を設ける場合は、商圏人口、店舗前の人通りなども調査することが必要です。
まずは「業界」「ライバル」「お客様」の3つからリサーチしてみましょう。
(筆者:永田洋子)
業界 | 起業する分野が未経験の場合は、業界全体の動向を調べておくことが大切です。技術的な傾向や流行など、大まかなところはインターネットや書籍で調べることができます。また、その業界で起業している先輩経営者から話しを聞くと参考になります。 |
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同業者 | 自分と同じ事業を既にやっているお店や会社について調べてみましょう。実際に購入したり利用してみるのが一番です。 商品やサービスの品質、特徴、価格、品揃え、接客、顧客などについて調べてみましょう。 また、そのライバル店と比較した時の自分の特徴(売り)は何か?を考え、お客様から選んでもらえる商品・サービスを作りこんでいきましょう。 |
お客様 | 起業した時にあなたの商品・サービスを買ってくれそうな見込み客の方へアンケートを行ってみましょう。 ・この商品(サービス)が欲しいと思うか? ・幾らだったら買うか? ということについて尋ねてみましょう。 |
必要なお金を計算しよう
起業する時に必要なお金は大きく分けると2つあります。「初期投資」と「運転資金」です。
●初期投資とは
初期投資とは、起業の最初に必要となる出費の事で、以下のようなものが含まれます。
- 店舗を借りる際の敷金、礼金、保証金、家賃
- 店舗の内装工事費用
- 店舗の設備や備品
- 販売在庫の仕入れ
- Webサイトやチラシ、フライヤーなど宣伝ツールの制作費
お家サロンやレンタルスペースを借りて始める方などは初期費用が少なくて済みますが、カフェなどの飲食店の場合は店舗が必要となるため、内装工事や設備などにある程度まとまったお金が必要になることが一般的です。
●運転資金とは
事業を継続していくと、毎月必要となるお金を『運転資金』と呼びますが、これには「固定費」と「変動費」とがあります。
固定費 | 売上の大小にかかわらず、毎月一定額が必要になるお金。家賃や正社員の人件費などがあります。 |
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変動費 | 売上の増減に応じて変動する費用です。材料費や仕入れなどが代表的なものです。 |
通常は事業を始めてもすぐに軌道には乗りません。
しかし売上が少なくても固定費を始めとして様々な費用がかかり、支払いをしなければならないため、その不足分をあらかじめ用意しておく必要があります。
初期投資と運転資金のそれぞれについて計算をして、あなたの起業に幾らのお金がかかるのかを計算してみてください。
(筆者:永田洋子)
お金の調達をしよう
起業に必要なお金が計算できたら、次に必要となるのは、そのお金をどのように用意(調達)するかということです。
女性の場合、小さく始める方が多いので、自分の預貯金(自己資金)で起業のお金を賄うことがほとんどかと思います。また女性の場合「借金はしたくない」と考える方も多く、自己資金の範囲内に収めようとする傾向にあります。
しかし、小さいスタートだと売上も少ない一方、ある程度お金を掛けて大きくスタートすると大きなリターンを得られる可能性が高まります。 自分はどちらのタイプが良いのを考えて、大きなビジネスをしたい場合で自己資金が足りない方は借り入れなども含めた資金調達方法を検討してみましょう。
<自己資金以外の起業資金調達方法>
友人や親戚からの借入 | 返済期限や利息などに融通がつきやすい反面、返せない時には信頼関係を損ねたり人間関係に影響を与えます。 |
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金融機関からの融資 | 銀行や信用金庫などからの借り入れ。返済義務があり、借入時には審査があります。 |
補助金・助成金 | 国や地方自治体などが目的に応じて給付し、返済義務が無い分、書類の作成や手続きが煩雑です。 |
ビジネスプランコンテスト | 優秀なビジネスプランに対して賞金等が提供されます。返済義務が無いことがほとんどですが、優れたビジネスプランを作ることに加え、プレゼンテーション能力も問われます。 |
出資 | 法人の場合の株式出資。返済義務は無く、経営の安定化に繋がる場合もありますが、自身の持ち株比率が下がったり、配当を実施することが求められることがあります。 |
クラウドファンディング | インターネットを通じて不特定多数の人からお金を募る方法です。銀行や投資家に頼らないで資金調達が可能で、基本的に返済義務はありません。一定期間中に目標額の満額が集まらなければキャンセルになるルールのものもあります。 |
(筆者:永田洋子)
「売れるしくみ」を考えよう
好きなことや得意なことで起業したい!と思ったら、そのアイデアを事業としてカタチにしていくことが必要です。
その時に考えるのが「売れるしくみ」。一般的には「マーケティング」と呼ばれるもので、以下の5つの視点から考えてみることが大切です。
誰に? | あなたの商品やサービスを提供する対象のお客様がどのような人か?ということを考えます。 |
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何を? | お客様にどのような商品やサービスを提供するのかを考えます。商品やサービスの名前、特徴、デザイン、パッケージ、品揃え、保証、アフターサービスなど、トータルで考えましょう。 |
いくらで? | 商品やサービスの金額(料金)を考えます。 |
どこで? | 商品やサービスの提供場所を考えます。大きく分けると、店舗を持って販売するのか、それとも店舗を持たずに販売するのかに分かれます。店舗を持たないタイプの販売方法には、ネットショッピングやカタログ通販、訪問販売、イベントでの販売、卸売などがあります。 |
どのように? | あなたのビジネスをお客様にどのように知ってもらうかを考えます。大きく分けて、見込み客に積極的に働きかける「プッシュ型」と、お客様からの行動を待つ「プル型」とがあります。 プッシュ型…営業スタッフによる人的販売、ダイレクトメールなど プル型…チラシ、ウェブ広告 |
(筆者:永田洋子)
お金について詳しくなろう
お金の流れを理解しよう
事業をスタートしたら「入ってくるお金」と「出ていくお金」を管理することがとても大切になります。
入ってくるお金よりも出ていくお金が多いと、資金繰りが行き詰って事業の継続の妨げとなってしまいます。
プチ起業のみなさんの場合、その多くがお客様から現金で直接その場でお金をいただくことが多いと思いますが、会社との取引が始まったり、大きな規模の売上となってくると、入金が1か月後ということもまれではありません。
まずは、仕入れ代金の支払いや家賃、スタッフさんへの人件費、そして借入金の返済など「出ていくお金」が毎月幾らなのかをきちんと把握しましょう。
そして、売り上げなど「入ってくるお金」で賄えるか、賄えない場合は、預貯金などで手当てが出来るかを確認してみてください。
起業と税金
あなたがもしこれまで専業主婦で収入がなかったり、OLとして会社に雇われていたのであれば、あまり税金について考えたことが無いかもしれません。
でも、起業してビジネスを始めたら、個人事業でも法人であっても、様々な税金が生じてきます。まずは、いつ、どのような税金がかかるのかを知っておきましょう。
< 個人にかかる税金>
所得税(国税) | 1月1日~12月31日の期間で計算し、翌年の2月16日~3月15日までに確定申告をして所得金額に応じて税金を納めます。 |
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住民税(地方税) | 前年の所得に応じてかかる「所得割」と、均等額でかかる「均等割」とがあります。所得税の確定申告をすれば特に申告の手続きは必要ありません。 |
事業税(地方税) | 所得金額に応じてかかります。 |
源泉所得税(国税) | 従業員を雇っている場合や、個人事業主の講師やデザイナー、税理士さんなどにお仕事を依頼した時など、事業者が源泉所得税を一時的に預かって納めることが必要になります。 |
消費税 | 課税事業者となった場合に、1月1日~12月31日の期間に「売り上げ時にお客様から預かった消費税」から「仕入れなど経費で支払った消費税」を差し引いた金額を計算し、翌年3月末日までに納めます。 |
< 法人にかかる税金>
所得税(国税) | 決算日の翌日から2か月以内に確定申告し、所得金額に応じて税金を納めます。 |
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住民税(地方税) | 資本金等の金額区分に応じてかかる「均等割」と法人税額に応じてかかる「法人税割」とがあります。事業所のある都道府県および市町村に申告します。 |
事業税(地方税) | 所得に応じて税金がかかり、事業所のある都道府県に申告します。 |
源泉所得税(国税) | 従業員の給与や社長の報酬、個人事業主の講師やデザイナー、税理士さんなどにお仕事を依頼した時など、事業者が源泉所得税を一時的に預かって納めることが必要になります。 |
消費税 | 課税事業者となった場合に、1月1日~12月31日の期間に「売り上げ時にお客様から預かった消費税」から「仕入れなど経費で支払った消費税」を差し引いた金額を計算し、翌年3月末日までに納めます。 |
上記以外にも、固定資産税や受取利息に対しての税金などがあります。
より具体的な内容については税理士さんなどにご相談ください。
お金の計算について:経理ってなに?
『会計』や『経理』、『決算』などの言葉を聞くと「私はそういう数字とか細かいことが苦手で…」という女性が少なくありません。でも、起業したら避けては通れないのがこれらのお金の計算、いわゆる「経理」です。
税理士さんなどのお金の専門家に依頼・相談することも大切ですが、基本的な部分は理解しておきましょう。
【経理について】
経理とは、日々の販売や仕入れなどの取引や現金の動きを管理して、帳簿を作成し、最終的にどれだけの利益もしくは損失が出たかを計算して(決算と言います)、それを元に確定申告をすることを言います。
法人の場合は税理士さんにその業務を依頼することが多いのですが、起業したばかりの個人事業の方の多くは経理のほとんどを自分で行う方も少なくありません。
【パソコンを使った経理】
以前は手書きが主流だった記帳(日々の取引を帳簿に記入すること)も、現在はパソコンで行うことがほとんどで、簿記を知らない初心者でも簡単に使える会計ソフトが増えています。
予め事業用に使っている銀行口座やクレジットカードなどを登録しておくと、自動で出入金のデータを帳簿に入力してくれたり、スマホでレシートを撮影すれば自動で読み取って記帳してくれる機能があるクラウド型ソフトもあります。
クラウド会計ソフトfreee(フリー)
このような会計ソフトを使うと、入力した時点までの業績がすぐに分かります。ほとんどの会計ソフトにはグラフや表などで経営の状態を確認できる機能がついていますので、それらを確認して見通しを立てたり、今後の対策を練ったりすることができることがパソコンによる経理のメリットです。
お金の計算について:売上と利益
起業したいという女性から「私は儲からなくても好きなことが出来れば構わないんです」という言葉を聞くことがありますが、起業するのであれば利益を生み出さなければいけません。
なぜなら、利益が無ければビジネスは継続できないからです。
では「利益」とは何でしょう?
利益とは、一言で言うと「儲け」。売上から費用を差し引いた金額です。
「売上ー費用=利益」 という図式で表せます。
図で表すと下のようになります。
では、より多くの利益を生み出すにはどうしたらよいのでしょうか?
方法は2つ。図で見ても分かると思いますが「売上を伸ばす」か、「費用を減らす」かのいずれかしかありません。
現時点で利益が出ていない事業の場合は、費用を見直ししてみましょう。なかでも固定費を見直して利益を確保するようにしましょう。
もし、費用を抑えても利益が出せないようであれば、価格や料金の見直し、事業内容の見直しを早急に行いましょう。
もっとはばたきたい方へ
売上は何から出来ている?
今よりも売上を伸ばしたい、と思った時にどうしたらいいのでしょう?
「広告を出してお客様を呼び込もう」
「商品(サービス)の値段を下げてもっと多くの人に購入してもらおう」
「イベントを開催してお客様を広げよう」
・・・などの施策を思いついてやってみようと考えた方、ちょっと待って!
施策に取り掛かる前に、現状をしっかりと把握、分析する必要があります。
まず、売上は以下の公式で表されます。
売上=客数×客単価×回転率
ここから分かるように、売り上げを伸ばすには
- 客数を伸ばす
- 客単価を伸ばす
- 回転率を上げる
のいずれかの方法が必要となります。自店の現状から見て、どの方向性がもっとも効果がありそうか、費用対効果も含めて検討をしてみましょう。
具体的な方法は以下の通りです。
①客数を伸ばす
新しいお客様を獲得する方法を考えます。
- 広告で新規のお客様を集める
- 新たな商品やサービスを提供する
- 営業日数を増やしたり、営業時間を延長する
- 新たな販売先を広げる(店舗販売だけだったのをネット販売も行う、など)
②客単価を伸ばす
既存のお客様に対して、一回に購入していただく金額をアップする方法を考えます。
- まとめ買いを提案する(例:2個買うとお買得になる)
- ついで買いを促す(例:レジにお菓子を置く)
- 関連商品などのオプション追加を提案する(例:ヘアカットにトリートメントを提案する)
- 商品やサービスの値段を上げる
③回転率を伸ばす
一人当たりの来店回数、購入頻度を高める方法を考えます
- スタンプカードを発行する
- 複数枚のチケットを発行する(例:コーヒーチケット)
- 有効期限付きの次回来店時特典を提供する
なお、単に売上だけ伸ばしても利益も増えないと意味がありませんので、必ず利益も確認するようにしましょう。
従業員を雇ったときに必要な手続き・届出
ひとりで起業した方でも事業を大きくしていく時には、ひとを雇う必要が生じます。ひとを雇う時に必要な手続きや届出には以下のようなものがあります。
●労災保険
労災保険とは、仕事中や通勤中に従業員が事故や災害にあった際に従業員本人または遺族に対してお金が支払われる制度です。
正社員でなくても、パートやアルバイトなど従業員を一人でも雇ったら労災保険に加入することになります(一部例外もあります)。
手続きは「労働基準監督署」で行います。
参考URL:労災保険情報センター 労働保険新規加入の手続
●雇用保険
雇用保険とは、従業員が失業した時に再就職するまでの一定期間にお金を受け取ったり、職業訓練などが受けられる制度です。
1週間に20時間以上の労働時間で、31日以上の雇用見込みがある人を雇った場合には雇用保険に加入する義務があります。
手続きは「公共職業安定所(ハローワーク)」で行います。
参考URL:厚生労働省 労働保険の成立手続
●社会保険(健康保険・厚生年金保険)
株式会社などの法人もしくは個人事業で5名以上の従業員がいる場合は、健康保険や厚生年金保険の加入手続きが必要になります(個人事業で5人未満や、飲食業などの一部のサービス業は5人以上でも加入は任意となります)。
また、採用した従業員が
①従業員の雇用期間が2か月以上
②1か月の所定労働日数・労働時間ともにその事業所の通常の労働者のおおむね4分の3以上
に当てはまる場合は、雇用の日から5日以内に、所轄の「年金事務所」へ届出が必要です。
参考URL:日本年金機構 事業所が健康保険(協会けんぽ)・厚生年金保険の適用を受けようとするとき
参考URL:日本年金機構 従業員を採用したときの手続き
●税金関連
税務署に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出します。
なお、雇用人数が10人以下の場合、「源泉所得税の納期特例の承認に関する届出書」を一緒に提出しておくと、従業員の給与支払い時に預かった源泉所得税を年2回の納付で済ませることができます。
参考URL:国税庁 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出
参考URL:国税庁 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
お客様があなたから「買う理由」を考える
たとえば、目の前にカフェが2つ並んでいるとして、片方はスターバックスコーヒー。もう片方は、ドトールコーヒー。
あなたはどちらを選ぶでしょうか。
その選んだ理由こそが、「買う理由」です。
世の中には、たくさんの商品やサービスがあふれています。
その中から、お客様があなたの商品を「買う理由」を考えましょう。
美味しいから、安いから、かわいいから、近いからなど、いろいろな理由がある中で
「あなたの商品だから」という理由で買ってもらえることは、とても幸せなことだと思います。
そうすれば、多少の立地条件の悪さは関係なくなりますし、価格競争もしなくてよくなります。
しかし、どうすればそうなれるのでしょうか。
「あなただから」買ってもらえるようになるためのひとつとして、私は「強み」の掛け算をオススメしています。
強みというのは、自分ではすごいと思っていないのに、人からはすごいと言われること。
だから自分では気づきにくいのですよね。
日頃から「わ~!すごい!」と言われたり、褒められるようなことを、覚えておくと、ヒントにつながります。
その強みは、ひとつだけを特徴にするのではなく、2つ以上を掛け合わせることで、よりオリジナルなものとなっていきますね。
可能性は誰にでもあります。
しかしながら、その可能性を閉じてしまうのは、自分自身です。
狭い視野や思い込みだけで考えるのではなく、一見、ムダそうに見える行動から気づくことも多々あります。
迷ったらまずは動いてみること。
その繰り返しでしか、答えは出てきません。
お客様があなたから「買う理由」を、とことん考えてみましょう。
意外と、自分が思っている理由と、お客様が考えている理由には、ギャップがあるものなので、お客様に聞いてみるのもいいでしょう。
買う理由がわかれば、売れる方法も見つかります。
(筆者:長谷川亜由美)
業種別の情報
美容・癒し分野での起業を目指す方へ
ここでは、美容・癒し分野に分類される職種を取り上げます。
仕事の内容エステ、ネイル、足つぼ、アロマ、リラクゼーション系などの施術を行い対価を得ます。
起業の特徴 | 美容や健康、リラクゼーションに関しての技術を習得した女性が起業することが多く、サロンを開き、お客様に来店していただく方法と、お客様宅等へ訪問する方法とがあります。 |
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起業の費用 | 自宅サロンの場合、10万円前後の少ない開業資金で済みます。店舗を構える場合は面積にもよりますが、取得費や内装工事、設備などで数百万円がかかります。 |
起業する上での注意点 | ・多くの場合、1対1で直接お客様に対応する仕事のため、施術の技術はもちろんのこと、対人能力が求められます。 ・件費が経費の多くを占めるため、スタッフを採用する場合は資金繰りや収支を十分計算してからにしましょう。 |
資格や許認可と法律 | ・“マッサージ”を行う場合は医師もしくはあん摩マッサージ指圧師の資格が必要です。 ・まつげエクステを行う場合、美容師の資格と保健所への美容所登録が必要です。 ・脱毛やピーリングなどは医療行為なので医師でなければできません。 |
スクール運営&講師を目指す方へ
ここでは、スクール運営&講師に分類される職種を取り上げます。
仕事の内容 | 音楽や語学、クラフトなど、自身が持つ技術やスキル、ノウハウを教えることで収入を得ます。 |
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起業の特徴 | 自宅などでスクールやお教室を開業する方法や、講演会場や各種学校・企業などに出向き、講師として働く方法があります。 |
起業の形態 | スクールを開業する場合、自身の独自のコンテンツで開業する方法と、フランチャイズに加盟しコンテンツを借りて開業する方法があります。自宅で教室を開く女性の多くは個人事業ですが、事業のボリュームによっては法人化も可能です。講師の場合はフリーランスとして活躍する場合が多いようです。 |
起業の費用 | 自宅における教室開業の場合は数万円程度で可能です。フランチャイズに加盟する場合は加盟金として数十万~数百万円かかることもあります。 |
起業する上での注意点 | スクールの場合、生徒が通いやすい立地が求められます。また、既存のスクールと比較して明確な差別化を打ち出さない限り、知名度の高い大手に対抗できません。 |
資格や許認可と法律 | 講師をするにあたっての特別な資格や手続きはありません。 |
飲食店開業を目指す方へ
ここでは、飲食店に分類される職種を取り上げます。
仕事の内容 | カフェやパン屋など飲食店全般。 |
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起業の特徴 | パン作りやお菓子作り、料理などの技術を身につけ、店舗での経験を積んだのちに独立・開業をする人がほとんどです。 |
起業の形態 | 個人経営の店舗も多いですが、フランチャイズに加盟して店舗を持つことも可能です。なお、最近では店舗を持たずに車(キッチンカー)での移動販売をする女性も増えています。 |
起業の費用 | 店舗を構える飲食店で起業する場合、広さにもよりますが店舗取得や内装工事、調理設備などの初期投資に数百万円~1千万円ほどかかることが一般的です。 |
起業する上での注意点 | ・初期投資に掛かる金額が大きいため、開店後の運転資金を含めた資金計画をきちんとしておくことが大切です。 ・飲食店は数多くあるため、店のコンセプトを明確にして、オリジナリティのある店づくりとメニュー開発を心がけましょう。 ・立地は売上や集客に大きな影響を与えます。家賃とのバランスを考えながら出店立地を検討しましょう。 |
資格や許認可と法律 | 飲食店の開業には「食品衛生責任者※」と「防火管理者」の資格が必要です。※調理師や栄養師、製菓衛生師などの資格がある場合は不要です。また、「食品営業許可申請」や「防火管理者選任届」などの届け出が必要となります。 |
EC(ネットショップ)運営で起業を目指す方へ
ここでは、EC(イーコマース)いわゆるネットショップに分類される職種を取り上げます。
仕事の内容 | 服飾品やハンドメイド作品などのインターネット通販を行います。 |
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起業の特徴 | 商材とパソコンがあれば比較的簡単に開業できます。 |
起業の形態 | 個店としてネットショップを開く、または大手のネットショップのモール内で店舗を持つ、もしくはインターネット上のマーケットに出品するなどの方法があります。なお、販売する商品在庫を持つ場合と、在庫を持たずに販売するドロップシッピング、2つの方法が存在します。 |
起業の費用 | 実店舗を持たないので開業にかかる費用は比較的少なく抑えられます。在庫の仕入れの有無や、在庫商品をどこに保管するか、シップをどこに出店するのか(個店なのかモールなのかマーケットなのか)によってかかる経費も異なります。 |
起業する上での注意点 | ・在庫を持つ場合は、余分な在庫を抱え込まないことが重要です。 |
資格や許認可と法律 | リサイクル品や手作り菓子などを取り扱う場合は、それぞれ警察署や保健所に届け出が必要です。 また、「特定商取引法」という法律で通信販売事業者(ネットショップ)が守るべきルールが定められています。広告やメール、表示などについて様々な規制がありますので確認が必要です。 |
ハンドメイドクラフト作家を目指す方へ
ここでは、ハンドメイドクラフト作家に分類される職種を取り上げます。
仕事の内容 | アクセサリーや布小物などのハンドメイド(手作り)作品を製作し販売します。 |
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起業の特徴 | ネットショップでの販売やイベント出展、カフェや雑貨店での委託販売などからスタートする人が多いようです。成長するにつれ、百貨店やセレクトショップで販売したり、自身の店舗を持ったりする方もでてきます。 |
起業の形態 | 自宅で個人事業として起業する人がほとんどです。 |
起業の費用 | 製作は自宅で行う人が多く、初期投資が少なく費用をかけずに起業することが可能です。 |
起業する上での注意点 | 手作りの作品を簡単にネットで販売できる仕組みが普及し、手作り市などのイベントも増え、販売者が多くなっているため、作品自体のオリジナリティや魅力が欠かせません。 |
資格や許認可と法律 | 資格や許認可と法律 ・手作り石鹸や化粧品、アロマスプレーなどの販売には薬事法に規定された製造販売許可が必要です。 ・プリント生地で作った布小物を販売すると(生地の商用利用)、一部のブランド(例:マリメッコ等)では、著作権法違反となります。 ・製造物責任(PL)法にもとづき、製品の欠陥によって購入者が損害を被ったことが証明された場合には、損害賠償を求められることがあります。 |
クリエイターを目指す方へ
ここでは、クリエイターに分類される職種を取り上げます。
仕事の内容 | イラストレーターやデザイナー、ライターなど |
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起業の特徴 | パソコンだけで仕事ができることが多いため、場所を問わず仕事ができます。そのため、女性でも家事や育児と両立しながら仕事をしやすいことが特徴です。 |
起業の形態 | フリーランスとして活動する人が多いですが、業績に応じて法人化をする方もいます。 |
起業の費用 | 自宅を事務所にした場合、パソコンと制作用ソフトなどだけで済むため、開業の費用は数万円程度ですみます。 |
起業する上での注意点 | オリジナリティ(あなたにしか提供できない価値)の有無がポイントになります。それが無いと、クライアントからの仕事をもらう下請け型ビジネスになりがちで、クライアントに収入を依存することになってしまいます。 |
資格や許認可と法律 | 特に必要な資格はありません。著作権や商標権の知識は、クリエイターの常識として抑えておくほうがよいでしょう。 |